第十六回センチメンタル・スケッチ・ジャーニー
 原初絵 温泉津(ゆのつ)
櫛島の海鳥

 


原初絵・温泉津(ゆのつ)

千枚の絵を描くことを発願した場所が、この温泉津(ゆのつ)である。

人に話すとき、わかりやすく「定年後に絵を描き始めた」と言っているが、

正確に言うと定年一年前(2002年春)のこの場所での絵が、

原初絵一号である。

実は、この温泉津には、三十数年前の入社直前の三月に訪れている。

京都を発って裏日本を西に辿り、この温泉津に宿をとった。
(その後、九州・長崎まで足を伸ばしているが)

 そして会社生活を定年まで過ごし、再びここを訪ねたのだ。

会社に入る直前と会社を辞める直前に訪れるという偶然ながら

不思議な縁を持つことになった場所である。

ここで木喰上人の遺跡を見て上人の一千仏彫りに倣って、

一千枚の絵を描くことを発願した。それから更に約十年を経て、

現在(2012年春)、九百点目に近づいている。

 このスケッチでは、海鳥が、雨の降る波止場でニ、三羽、

佇んだり飛び立っている様子を走り描きながら描いた。